夜這いとは? 源氏物語にも登場するヨバイの本当の意味

夜這いとは?

夜這いとは

夜這い(よばい)とは?、辞書で調べますと、だいたい「夜、恋人のもとへ忍んで通うこと。特に、男が女の寝所に忍び入って情を通じること。」「結婚を求めて言い寄ること。求婚すること。」とあります。
女性の寝床に忍び込むと言うイメージが強いですが、現代において「夜這い」は、もはや存在せず、かつての日本文化と言えます。
この記事では、源氏物語に登場する夜這いのシーンから、近年までの日本の夜這いに関して調べてみました。

まず、紫式部が書いた源氏物語では、平安貴族の男性が、夜な夜な、女性の家を訪れることが描かれています。
しかし、この「夜這い」と言うのは、現在、思い浮かべるようなものとは、実情は異なります。
当時から、夜這いと言うものは、結婚に至るまでの段取りのひとつでした。


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まず、大きく異なるのは、事前に、その女性と「約束」のようなものが存在しています。
全く知らない女性の家に、了解も得てないのに突然行くと言う事ではなく、夜這いすることを、事前に「同意」している(来ることを知っていた)とも考えらています。
とは申しても、顔見知りであったとは限りません。
会ったことはなくても、少なくともお互いに「存在」を知り、平安時代には、男性が意中の女性に「和歌」を送っては、何度もやりとりするなどしました。
そして、お互いに相手を思う様になると、夜間、暗くなってから、男性が女性の屋敷に通って、初めて会ったたと言う事になります。

身分の高い家の女性は、基本的に自分の屋敷から外には出ませんので、このような会い方になったと言う事になります。
また、親しい人以外は、御簾(ミス)※スダレのようなものを介してでないと、顔も見れないので、その若い女性が、美人かも不明です。
その為、年頃の娘を持った貴族の親は、自分の娘の噂を、わざと流して、興味をひくように仕向けていたようです。
そして、噂を聞いた年頃の男性は、和歌を送っては、どのような女性なのか?、性格などを「歌」から確認して、お互いに会いたいと言う事になったら、夜這いに行く訳です。

貴族の男性の場合、見つからないようにコソコソと行く訳ではなく、牛車に乗り、供を連れて行くこともあったと、ありますので、こっそり訪れたと言う事ではありません。
相手の女性の家でも、侍女以外の家人は、気が付いても、知らないふりをしていたと言います。
こうして何回か通い、お互いの気持ちを確認すると、儀式を行い、家人に紹介し、宴(披露宴)となりました。
女性側の家にとっても、相手のほうが身分が高かったり、良い男性であれば、大変うれしい事だったでしょう。

当然、若い女性や男性の「親」も、夜這いをした経験がある訳でして、娘が1度も夜這いを受けていないと「娘に問題があるのでは?」と心配をすることもあったようです。

このように、夜這いと言っても、事前にある程度の合意があり、何回も通ったと言う事が言えます。
なんにしても、夜は「暗い」うえに、貴族の家・屋敷は、広いので、相手の親に見つかりにくいと言うところがありました。
なお、重婚、夜這いは当たり前でしたので、結婚したあとでも、女性は、そのまま実家に住んでいることが多く、結婚後も男性が女性のもとに通うのが普通でした。


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この夜這いの風習は、貴族に限ったことではなく、民衆にも大きく広がっていました。
しかし、日本において、いつ頃から、夜這いがあったのか、定かではありません。
「呼ぶ」と言う言葉は、古代の意味・表現として「よばう」と言う使い方がありますので、縄文時代より前など、かなり昔からあった可能性もあります。
暗い夜では、部屋の中も真っ暗でみえないので、床を這うようにして、相手の寝床に忍び込んだので「夜這い」と呼ばれるようになったと言う説もあります。

鎌倉幕府を起こした、源頼朝も、伊豆にて謹慎している最中に、何度も夜間に抜け出しては、女性と神社などで待ち合わせて、密会しています。
当然、そのためには、手紙のやり取りなどで、会う約束を事前にしていたと言う事になります。

江戸時代にも、女性の噂を聞いた男性は、手紙を送るなどして、何回かやり取りしました。
そして、お互いに「会いたい」となると、男性が夜に女性の家を訪問した訳です。
片道2時間歩くなんてことは、ザラだったようです。
電気も無い時代、基本的に夜は真っ暗ですので、こっそりと会い、求婚しました。
しかし、相手の親に見つかれば、当然、怒られることもあったようです。
旧家の場合、屋根裏部屋を、夜這い防止のため、女性の寝室にしているケースも見受けられます。
例えば、山深い飛騨の白川郷周辺では、厳しい生活から、女性も貴重な働き手だったので、男性に取られないよう、若い女性は、屋根裏で寝かせていたと言います。

現在の日本では、夜這いはありません。
これは「電気」が普及して、夜でも、簡単に、明かりが取れるようになったので、夜這いすることが、出来なくなったと言う、要因としても考えられます。
少なくとも「電灯」が普及する以前、約150年前(1870年頃・明治3年頃)までは、一部の農村・漁村であった模様です。
特に、電気の普及が遅れた、山奥など山間部の農村では、遅い時期まで残っており、男性ではなく、女性が通う風習を持つ地域もあった模様です。


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このように、文明開花と共に、明治以降、夜這いの風習が廃れました。
近代化や道徳の向上目的、一夫一婦制制などもあり、夜這いが全面的に禁止されることになりました。
以上のように、事前に女性と口約束などをしてから、夜這いをすることがほとんどですので、強姦、レイプとは違うものだったのです。

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